愛媛県立高校入試の作文について
愛媛県立高校入試では、毎年作文（小論文）の問題が出されます。特色入学者選抜（旧推薦入試）でも一般入試でも、問題として出されるため、県立高校を受験する生徒にとって対策が必要となります。
一般入試と特色入学者選抜（旧推薦入試）では、出される問題の傾向が異なるため、それぞれに対応した対策が求められます。一方で、文章を記述するということの基本構造は同じですから、特色を経て一般入試を受験する中学生にとっての優先度は控えめです。
本稿では、過去に愛媛県立高校入試で出された課題の一部のテーマを抜粋し、少し改変した問題の例文を紹介しております。書き方の全くわからない中学生の参考になればと作成しております。同じものをそのまま書き写してしまうと、自分の作文になりませんので、参考程度に見ていただけたらと思います。
愛媛県立高校入試 作文 例
言語コミュニケーションにおいてどのようなことが大切だと考えるか。
作文問題
中学校で、言語コミュニケーションについての話し合いがあった。次は、話し合いで用いた【資料】と【話し合いの一部】である。あなたは、言語コミュニケーションにおいてどのようなことが大切だと考えるか。【資料】と【話し合いの一部】を読み、そう考える理由を含めて述べなさい。
【資料】
価値観が多様化した現代社会で生きていくためには、言語コミュニケーションによって、共通理解を深めていくことが欠かせない。
【話し合いの一部】
Aさん情報の送り手は、受け手の気持ちを考え、伝え方を工夫することが大切だよね。
Bさん情報の受け手も、積極的に関わらないと、伝え合いにならないね。
＜注意＞
1 【話し合いの一部】に示された意見のうち、どちらか一つ、または、両方の意見を交えて書くこと。
2 【資料】に示された内容を交えて書くこと。
3 あなたが体験したことや見聞したことを交えて書くこと。
4 段落は、内容に応じて設けること。
5 文章の長さは300字以上400字以内とすること。
6 氏名は氏名欄に書き、文題は書かないこと。
7 解答時間は20分とする。
解答例
私は、言語コミュニケーションにおいて、自分の意見を持つことが大切だと考える。一方通行のやり取りでは、共通理解を深められないと考えるからだ。
資料には、共通理解を深めていくことが欠かせないと示されてある。また、Ｂさんは、受け手の態度が大切だと述べている。私は、受け手が積極的に関わることで、共通理解を深めることが出来ると考える。そのために、自分の意見を持つ必要があると考える。
中学校の話し合いの時、互いの考えをやり取りしようと試みた。しかし、班員は自分の意見を持っていなかったため、一方通行の議論となってしまった。一方で、家族で旅先を決めた時、全員が自分の意見を持っていたため、互いに理解を深め合うことが出来た。
この経験から、自分の意見を持つことで、共通理解を深められると感じている。高校では、相手が自分の意見を持てるよう、伝え方の工夫という点にも気を付けていきたい。
大切にしたい時間について
作文問題
次の【資料】を見て、大切にしたい時間についてのあなたの考えを、なぜそう考えるかという理由を含めて述べなさい。
【資料】
ある会社が令和3年に実施し、全国の18歳・19歳の105人が回答（選択式・複数回答可）した調査によると、次のことが記されてあった。大切にしたい時間として、「趣味に費やす時間」を選択した人は70.5％、「ゆっくりと休息する時間」を選択した人は66.7％、「おいしいものを食べる時間」を選択した人は64.8％、「学びを得る時間」を選択した人は61.9％、「友人と過ごす時間」を選択した人は61.9％、「自分を見つめる時間」を選択した人は57.1％、「心を整える時間」を選択した人は55.2％、「自分を成長させるための時間」を選択した人は53.3％であった。
＜注意＞
1 上の資料を見て気づいたことを交えて書くこと。
2 あなたが体験したことや見聞したことを交えて書くこと。
3 段落は、内容に応じて設けること。
4 文章の長さは300字以上400字以下とすること。
5 数字を使う場合は、「例 七十・五％、六十六・七％」のように記述すること。
6 氏名は氏名欄に書き、文題は書かないこと。
7 解答時間は20分とする。
解答例
私は、大切にしたい時間について、資料の中では自分を成長させる時間が最も大切であると考える。その理由は、自分を成長させることで、他者の役に立てるからだ。
資料において、自分を成長させるための時間は最も値が小さく、趣味に費やす時間と、十七・二％もの開きがある。趣味や休息、食事など、項目は自分が中心のものばかりである。私は自分のためだけに費やす時間は最小限に留める必要があると考える。なぜなら、自分の事しか考えない人より、他者を思う人の多い世の中であって欲しいからである。
現代の日本では、自分が何より大切であると考える人が多いように感じている。自分の人生は多くの人の支えによって成り立っていることを忘れているような気がする。
与えられている事に気がつく時間ほど、充実感を得られるものはないと感じている。高校でも、他者にたくさんの幸せを与えられるよう、自分を磨いていきたい。
古典について
作文問題
古典について、「古典は、現代人にとって知恵の源になる。」という意見がある。この意見に対するあなたの考えを述べなさい。
＜注意＞
1 これまでの古典とのかかわりを通して、あなたが感じたことや考えたことを交えて書くこと。
2 段落は、内容に応じて設けること。
3 文章の長さは300字以上400字以内とすること。
4 氏名は氏名欄に書き、文題は書かないこと。
5 解答時間は20分とする。
解答例
古典は、現代人にとって知恵の源になるという意見に対し、私は深い知恵を与えてくれると考える。なぜなら、古典には仏法が説かれているからだ。
中学校の授業において、古典とのかかわりを通して、仏教の深い学びに共感することが多々あった。例えば、因果の道理である。物事には原因があって結果があるという法則だが、これは現代科学の要である。また、善因善果・悪因悪果・自因自果であるため、自分の行いの結果が今であり、今の行いの結果が未来を作ると説かれている。さらに、三世因果によって、理不尽な結果すらも、原因を自らが作り出していることに整合性が取れるため、深い知恵を得ることが出来た。
このように、古典とのかかわりを通して、深い知恵を得ることができると考える。現代では、古典が疎かにされがちだが、非常に役に立つと考えている。高校でも古典を学び、深い知恵を身に付けていきたい。
あなたにとっての一番居心地のいい場所について
作文問題
次の【資料】は「若者にとっての自分の居場所」について調査した結果をまとめたものである。この【資料】を参考に、あなたにとっての一番居心地のいい場所について、なぜそう考えるのかという理由を含めて述べなさい。
【資料】
平成29年度版 内閣府「若者白書」によると、若者（15歳～29歳）にとっての自分の居場所について調査した結果は次の通りとなっている。自分の居場所として、「自分の部屋」にそう思うと答えた割合は61.0％、「家庭」にそう思うと答えた割合は39.1％、「インターネット空間」にそう思うと答えた割合は18.7％、「地域」にそう思うと答えた割合は13.2％、「学校」にそう思うと答えた割合は12.2％である。
＜注意＞
1 自分が体験したことを交えること。
2 段落は、内容に応じて設けること。
3 文章の長さは300字以上400いないとする。
3 数字を使う場合は「例 六十一・〇％」のように記述すること。
4 氏名は氏名欄に書き、文題は書かないこと。
5 解答時間は20分とする。
解答例
私にとっての一番居心地のいい場所は学校である。なぜなら、学校では、最も多くの人の役に立てるからである。
資料を見ると、学校が自分の居場所だと思うと答えた割合が最も低く、自分の部屋と比べると四十八・八％もの開きがある。私は、自分の居場所とは、自分が他人の役に立てる場所であると考えている。
学校では、授業でわからない所を友人に教えたり、掃除を手伝ったりした経験がたくさんある。また、地域では、外国人に道案内したり、お年寄りの荷物を持ったりしたことがある。人の役に立てると、笑顔が生まれ、自分一人では経験できない充実した時間を過ごすことができた。
このように、人の役に立てる学校や地域が私にとって居心地の良い場所である。高校では、たくさんのことを学び、将来は多くの人を笑顔にできるよう、他人のために生きられる大人になりたい。
思いやりについて
作文問題
思いやりについて、あなたの考えを、なぜそのように考えるのかという理由を含めて述べなさい。
＜注意＞
1 あなたが体験したことと、そのことを通して考えたり感じたりしたことを交えて書くこと。
2 段落は、内容に応じて設けること。
3 文章の長さは300字以上400以内とする。
4 氏名は氏名欄に書き、文題は書かないこと。
5 回答時間は20分とする。
解答例
私は、思いやりについて、自分より他人を優先させる心が重要であると考える。その理由は、心のこもった行動によって、温かい世の中を築けると考えたからである。
現代の日本において、思いやりに欠ける人が増えていると感じている。学校帰り、目の不自由な人が困っていても、誰も助けない場面に出くわした。私は目的地まで道案内したが、見て見ぬふりをした人が多いことに、悲しい気持ちになった。また、重い荷物を持つ老人を助けたこともある。人を助けると、いつも言葉をかけてもらい、温かい気持ちになる。助けた方も助けられた方も、喜びに満ちた心になるというのに、思いやりに欠ける人が多い状況は残念に思う。
自分の事より他人を優先させる心を持つ人が増えることで、今より明るい世の中になるのではないかと思う。高校でも思いやりの心を持ち、心のこもった行動によって、明るい学校生活を送っていきたい。
継続について
作文問題
継続について、あなたの考えを、なぜそのように考えるのかという理由を含めて述べなさい。
＜注意＞
1 あなたが体験したことと、そのことを通して考えたり感じたりしたことを交えて書くこと。
2 段落は、内容に応じて設けること。
3 文章の長さは300字以上400以内とする。
4 氏名は氏名欄に書き、文題は書かないこと。
5 回答時間は20分とする。
解答例
私は中学校生活において、忍耐することを継続してきた。誰もやりたくないことを率先して続けることで、他の人は楽ができ、笑顔が増えると考えたからだ。
妹が病気になった時、汚れたトイレを掃除する母の姿が目に映った。日頃から家の手伝いに取り組んでいたが、汚れ仕事は母が取り組んでいた。それを見て、自分が楽をさせてもらっていることに気がつき、今後は自分が人を楽にさせようと思った。その日から、私が汚れ仕事に率先して取り組むことで、母の笑顔が増えていると実感している。
学校では、班長や委員長、トイレの掃除など、忍耐が必要な役を率先して引き受けた。苦しいことや辛いこともあった。しかし、この苦しみを他人が受けなくてよくなったと思うと、安らかな気持ちになり、継続できた。
高校でも、縁の下の力持ちとして、どのような仕事や状況にも忍耐するということを継続していきたい。
解答例の注意点
解答例の作文は、そのまま真似をすることのないよう注意していただきたいと思います。どのような文章を記述すれば良いのか、どのような構成をすれば良いのか、記述のヒントとして例を示しております。そのまま真似をした内容については、大人が読んだとき、中学生の作文として違和感を覚える内容となっております。
中学生の作文においては、誤字脱字や問題に示された注意点に気を付けて、時間内に書き上げるということを意識して練習しましょう。「自分の考えを読み手に伝える」ということまで出来れば、十分かと思います。
最後までご覧くださりありがとうございました。
